知らなかったでは済まされない!夜職をするなら知っておきたい「風営法」の基礎知識

2025年09月02日

夜職で働く前に、必ず知っておきたいのが風営法!
「うちの店って大丈夫?」「これって違反じゃないの?」そんな不安を減らすために、働く側も最低限のルールを知っておくことが大切です。

この記事では、風営法の基本や、どんなお店が対象になるのか、ありがちな違反例まで初心者にも分かりやすく解説します。
「働く前に知っておいてよかった!」と思える内容をギュッと詰め込みました♪

 

そもそも「風営法」ってどんな法律?

そもそも「風営法」ってどんな法律?

風営法は、特定のお店の営業スタイルやサービス内容に応じて、営業時間やルールを定めている法律です。
夜職の多くはこの風営法の規制対象内であり、オーナーや経営者だけでなく、キャストやスタッフにも関係がある大切なものです。

ここではまず、風営法についての基礎を紹介します!


風営法の正式名称と目的

風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」です。

風営法は、地域の治安や風紀を守るためのものであり、目的は以下のような形で定義されています。

風営法の目的
この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。

少し難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと「社会や青少年にもたらす悪影響を減らして、安全で健全な営業環境を守る」ための法律なんです。


風営法ができた背景

風営法ができるまで、夜職の営業は無法地帯状態で、犯罪やトラブルが頻発していました。
家出した未成年が事件に巻き込まれるケースも多く、こうした事態を重く見て、トラブルが起きやすかった現場に対して風営法が制定されたのです。

当然夜職は、風営法の影響を強く受けた業界の一つです。
法律に違反すると罰則もあるため、風営法をやっかいに思う人もいるかもしれません。
しかし風営法のおかげで、健全に働ける環境が以前よりも整い、風営法に則った営業をすることで、夜職業界は社会からの信用をアップさせることができました。

働くキャストにとってもメリットは大きく、安全が守られる仕組みができたことで、安心して夜の仕事に従事できるようになったのです。

 

風営法で定められているルール・罰則

風営法で定められているルールはいろいろありますが、夜職に関係する部分を一部抜粋すると以下のようなものがあります。
違反すると重い罰則があるので、併せて覚えておきましょう!


許可や届出について
→お店の種類に応じた、「営業するために事前取得が必要な許可証や届出」について定められています。
△これに違反すると……2年以下の懲役 or 200万円以下の罰金、またはその両方が科せられます!

■営業時間について
→どの形態のお店が何時まで営業できるかが定められています。
△これに違反すると……6ヶ月以下の懲役 or 100万円以下の罰金が科せられます!

■仕事内容について
→お店ごとの提供できる仕事の範囲が定められています。夜職でいうと、接待OKかどうかについても風営法上でルールが決まっています。
(※接待とは、お酌や隣に座っての会話、カラオケ、ゲーム、ダンス、歌などでお客さんをもてなすことを指します。)
△これに違反すると……2年以下の懲役 or 200万円以下の罰金、またはその両方が科せられることが多いです!

■店の構造やルールについて
個室の広さや照明の明るさなど、店の設備や環境について定められています。
△これに違反すると……指導・改善命令・警告が入り、これらを受けても改善されない場合は営業停止処分や営業許可取り消しになることも!

■年齢制限について
18歳未満を雇ってはいけない、客としてもてなしてはいけないなど、未成年に対しての注意などが定められています。
△これに違反すると……重い処分+営業停止の可能性が大です!

 

どの内容であっても、違反内容が悪質な場合は、「数日間の営業停止」や「営業許可取り消し」になることがあります。
強制的な閉店に繋がるので、自分のお店で「風営法違反では?」と疑うことがあったら、すぐにお店に相談しましょう。

 

夜職はすべて規制対象? 風営法を守るべきお店の基準とは

夜職はすべて規制対象?風営法を守るべきお店の基準とは

夜職といっても、キャバクラ、ガールズバー、コンカフェ……など、いろいろなお店がありますよね。
夜職と風営法は密接に関わっていますが、実は、夜職だからといってすべてのお店が風営法の対象になるわけではないんです!

どのお店が風営法の対象になるかは職種ではなく“仕事内容”や“営業の仕方”によって変わります
とはいえ、職種ごとに一般的な営業スタイルの傾向はあるので「自分の店はどうかな?」という目線で風営法の対象となるお店の特徴を見ていきましょう。


 風営法の規制対象になるのはどんな店?

風営法で規制の対象となるお店は、大きく4つに分類されています。

なお、これから出てくる「風俗営業」とは、いわゆる性風俗店とは別モノです。
実はキャバクラなどの飲み屋やゲームセンター、カラオケなども「風俗営業」の許可を取って営業しているお店なんです!

この前提を押さえた上で4分類を見ていきましょう。

規制対象店の区分
・風俗営業(★)
・特定遊興飲食店営業
・深夜酒類提供飲食店営業(★)
・性風俗関連特殊営業


この中で夜職が分類されやすいのは「風俗営業」と「深夜酒類提供飲食店営業」の2つ

夜職の場合、その店が風営法の対象になるかは、ざっくり言うと以下の2つの条件で見分けられます。
この2つのどちらか一方でも当てはまる場合は、風営法の規制対象になると考えてOKです。

風営法の対象になるケース
【1】接待行為がある:隣に座って会話する、お酌をする、一緒にカラオケを歌う、ショーを見せるなどの行為をしているか。
→接待行為をしているお店は、風俗営業に該当します。
これらの店を営業するためには警察署に「営業許可」を取る必要があります。

【2】深夜営業している:0:00以降も営業してお酒を提供しているか。
→0:00以降も営業しているお店は、深夜酒類提供飲食店営業に該当します。
これらの店を営業するためには警察署に「届出」を提出する必要があります。

 

なお、接待を伴う「風俗営業」は、深夜(0:00〜6:00)の間は営業してはいけないと定められています。
(※一部自治体では1:00までの営業が認められている場合もあり)

一方、「深夜酒類提供飲食店営業」は0:00以降も営業できます
しかし、深夜酒類提供飲食店営業店は、接待行為をしてはいけないと定められている点に注意が必要です!
つまり、お客さんの隣に座って会話を楽しんだり、一緒にゲームやカラオケをするようなお店の場合は、「深夜酒類提供飲食店営業」ではなく、「風俗営業」として営業許可を取得しなくてはいけないのです。

また、「風俗営業」と「深夜酒類提供飲食店営業」の許可(届出)は、同時に取得することはできません

・「風俗営業」の場合は、接待OKだが、0:00以降(深夜)は営業NG
・「深夜酒類提供飲食店営業」の場合は、接待NGだが、0:00以降も営業OK

と覚えておきましょう!

  接待 深夜営業
風俗営業OKNG
深夜酒類提供飲食店営業NGOK
接待もして、0:00以降も営業しているお店は風営法違反


【職種別】風営法を守るべき夜職は?

まず、夜職の多くは風営法の規制対象内と考えておきましょう。
しかし、提供しているサービスや仕事内容に準じて規制対象かどうかが変わるため「この職種だから風営法の対象内だ」であるとか「この職種は風営法無視でOK」などとは一概には言い切れません!

ここでは「風俗営業」に分類されるのか「深夜酒類提供飲食店営業」に分類されるのかと一緒に職種ごとの傾向を見てみましょう。

「風俗営業」に分類されやすい職種
・キャバクラ
・ニュークラブ
・クラブ
・ラウンジ
・パブ
……など

これらの職種は、接待を伴う接客がメインのため、基本的にはどのお店も風営法の規制対象です。
多くの場合は風俗営業に分類されます。

 

「深夜酒類提供飲食店営業」に分類されやすい職種
・ガールズバー
・コンカフェ
・スナック
・バー
……など

これらの職種も、ほとんどが風営法の規制対象です。
カウンター越しの接客などで、接待を伴わないお店の場合は、風俗営業ではなく、だいたいが「深夜酒類提供飲食店営業」に分類されます。

 

ただし、夜職の中には、「飲食店営業」という分類となり、風営法の対象外になっているお店もあるんです!
なかなかレアな例だとは思いますが、下記のような条件を全て満たしていれば、夜職に分類されるような職種であっても「飲食店営業」として見なされるので押さえておきましょう。

夜職が「飲食店営業」に分類される例
・接待を伴わない
・0:00までに営業が終わる
・店内が規定以上の明るさである
・個室が規定以上の広さである
・視界が遮られる席がない
……などの条件を全て満たさなければならない

つまり、接待がないガールズバーやコンカフェ、スナック、バーなどの場合、営業時間や店の環境によっては風営法の規制対象から外れているかもしれません。

しかし、飲食店営業なのに分類から外れた接客(接待行為など)をしている、と警察や保健所に判断されれば一発アウト
形式だけでなく、実態が飲食店営業として成立しているかを意識して仕事することがとても大切です。

グレーな行為をしないように、お店もキャストも日々風営法についての知識をつけて対応していきましょう!

 

こんなお店は注意!あったらヤバい風営法違反例

こんなお店は注意!あったらヤバい風営法違反例

実際に働いていると「これって風営法的にどうだっけ?」と判断に迷う場面があると思います。
そんなときでも正しい行動をとれるように、具体的なシチュエーションとともに、危険な違反例を紹介します。


営業時間違反「キャバクラだけど深夜も営業!今日は稼ぐぞ~~!」

「イベント期間中は特別に2:00まで営業しちゃうよ~!」なんてお店の人に言われたら要注意!
キャバクラのような接待を伴うお店は「風俗営業」の分類になるので、風営法上は0:00以降の営業は絶対NGです。

それを覚えていれば、こんな風に言われても「応じてはだめなこと」と判断できますよね!
スタッフから提案されても、法律上どうなのか確認する姿勢を忘れずにいることが、自分の身を守る盾となりますよ。

ちなみに、キャバクラの場合はほとんどありえないとは思いますが、万が一「深夜酒類提供飲食店営業」として届出を出している場合は深夜帯(0:00~6:00)の営業もOKです!
ただし、その場合は接待NGなので、お客さんの隣に座って会話したり、お酌したり……はしないように注意しましょう!
 

接待行為の違反「ガールズバーだけど、常連さんだしちょっとだけ隣に座ってもいいよね?」

ガールズバーのほとんどは、「深夜酒類提供飲食店営業」として届出を出しています。
深夜酒類提供飲食店営業のガールズバーでお客さんの隣に座ると法律違反になってしまうので注意しましょう!

「いつも来てくれるし少しならいいか」なんて軽い気持ちが、お店の営業停止に繋がってしまうかも……
対応に悩んだらスタッフに相談して、法律上問題ないか確認してみると安心ですよ!

もちろん、風俗営業として許可を取っている店ならガールズバーでもお客さんの隣に座ってもなんら問題ありません
ただし、しつこいようですが、その場合は0:00以降は営業NGなので気をつけてくださいね。
 

年齢確認の義務違反「お客さんがまさかの17歳!?」

どんな夜職でも、18歳未満の人をお客さんとして店に入れるのは絶対にNGです!
18歳未満のお客さんを入れたり、スタッフとして雇ったりすると、風営法だけでなく、労働基準法や青少年保護育成条例の対象にもなってトリプルパンチ……
接客時にお客さんの年齢が18歳未満だと分かった場合には、お店に相談して即刻で退店してもらうようにしましょう!

初めて来店するお客さんが来た際は、受付時に必ず身分証で年齢を確認するようにルール化することも非常に大切です。

ちなみに、「18歳未満は立入禁止」と分かる掲示を、店外の見えやすい場所に貼っておくことも風営法で義務付けられています
自分のお店の入口に、そうした掲示があるかどうかもチェックしてみると良いですね!

 

客引き違反「今日はお客さん少ないしチラシでも配ってこよ~っと!」

実は風営法では、キャッチ行為は禁止されています!
店外で連絡先を交換したり、歩いている人に声をかけたりするのもキャッチ行為と見なされることがあるので、風営法の規制対象店は注意しましょう!

キャッチ行為は、風営法以外にも各自治体の条例で取り締まりを厳しくしているエリアが増えてきています
違反するとダブルで罰則を受けることになるのでくれぐれも気をつけてくださいね。

なお、風営法の対象外のお店がビラ配りなどをしている分には特に問題ないので、集客の際はお店の人に確認してみてください。
 

まとめ|風営法を理解して、安心できるお店で働こう!

まとめ|風営法を理解して、安心できるお店で働こう!

風営法と聞くとちょっと堅苦しく聞こえてしまいますが、夜職で安心して働くための大事なルールです。
風営法に則った仕事をすることで、キャストもお客さんもあらゆる危険から遠ざかることができます。

「なんとなく働いていたけど、実はルール違反だった……」なんてことにならないように、基本をしっかりと知っておくと安心ですよ。
これから夜職を始める人も、今働いている人も、一度は知っておきたい「風営法」、気持ち良く働くために、この機会に知識をアップデートしてみてくださいね♪